農業王。畑の王。野菜の冠を被った王。
他にもいくつもある彼の呼び名は、その業績を讃えるばかりのものではない。実際に畑で彼の姿を見た、領民が親しみを込めて呼ぶようになったものが多い。
初めこそ王としての手腕に疑問を呈された彼であったが、領民に対しても野菜に対しても真摯に丁寧に向かい合う姿が、王として受け入れられる基盤となった。
農民から王へと異色の転身を遂げた彼は、王となってまもなく戦争へ従軍することとなる。
そこで捕虜となった彼は、身柄を ───
── Leandro De Luca 『ティルカン諸王列伝』