[身にまとわりつく瘴気。いっそ腕にでも取りつかせてすぐさま斬り落とす。そんな選択肢を選んでいたかもしれない。]
悪いんだけど……さ。
なんてーか、もう、俺は、取りつかれてるんだよ。
[微かに身を覆うような霞草の幻香。夢でみたような現にあったような、どうにも不思議で、だが確かに在る人]
『いってらっしゃい』ってさ。これって帰ってくること前提なんだよ。酷い話だ。
まあ、それ以外にもこう、な。色々いるんだよな。
[見て見ぬふりしてきた存在も、置いていった人も、許容してくれた人も。泣いて怒ってくれた人もいたかな?
苦笑して、兄の太刀を守り刀のように振った。]