― 過去 ―
……勿論。
ぼかぁ、閉じ込められていて今は君しか見えないんだ
名前を聞いているのなら、ロー・シェン。
ローとでも呼んでくれ給え
[ 扉越し…とは言っても、
廊下が見えるように小さな窓が開いていたから
彼女の顔ははっきりと目に出来て。
やや口説き文句めいた言い回しで名乗った後、
名を聞き返したら彼女の名前を聞かせて貰えたのだったか。 ]
ね、もしかして花屋をやっているって人?
もしよかったら…君の好きな花についてでも話してくれないか
それから――。
[ それだけでは済まずに、
次々と持ち前の好奇心を発揮して尋ね続けていたら
聞き過ぎ!と怒られてしまったような気がする。>>368 ]
ふっ…それじゃ明日も来てくれるわけだね。
楽しみにしているよ。何せ、退屈で死にそうだったから。
[ 明日も来ると言われれば、素直に引き下がったけれど、
約束だよと念を押すのは忘れなかった。
それから彼女は何度か遊びに来てくれたのだっけ。
話をする度に、兄の件で気遣ってくれているのが分かって
いつしか優しい子なのかな、と思うようになっていった。* ]