― 大広間 ―[歓談時、何を話していただろう。船旅なんて初めてなんだ、とか、クリスマスに恋人が居た試しがない、なんて暴露や部屋のクローゼット見た?なんてこととか。他愛も無い会話で花咲いていた空間に、かすかな揺れが押し寄せ、汽笛が伝う] ああ、出航したんだね。 海の上から見る景色、綺麗だろうな。[ぼんやりと、小窓の向こうへ馳せる視線。そこには相変わらずの藍色の空が拡がっていて、この時はまだ、スマホの新着にも気づけていなかった――**]