―朝 教会―
[昨日に引き続き、教会内に借りている部屋で目を覚ます。
昨日は結局あのあとどうしたのだったか。
リゼットの言う金色の花の話。金色と言って最初に思いついたのはヒマワリだったが。
その頃外を見れば、素人目にも大雪の気配を悟った。
リゼットには雪が酷くなる前に帰れと言ったんだったか、雪が酷くなるから泊まっていけと言ったんだったか……どちらだったか。寝起きで頭がハッキリしない。
窓から外を見渡せば、目を覆うほどの大雪。
この雪では教会の外に出ることすら注意を要する。
村から外に出るための道は極めて細い。あの道から出ようなどもってのほかだ。
ニコラスが一昨日戻ってきてくれたのは、彼にとっては僥倖だったのだろうか。あるいは旅人の経験が、今戻らなければ危険だと告げたのか、それはわからないが。
とにかく外にでるのは危険だ。今日は恐らく誰も来るまい。
……とは言え、広間の掃除はしなくては。これは、仕事であると同時に、一日を始める合図なのだから。それが終わったら朝食の支度だ。
フリーデルはそう考え。いつものように、朝の支度を始める。]