― 朝 村はずれの館 ―「おぉーい、ローゼンハイムさーんっ!!」[早朝からせっせと薔薇の花の手入れをしている、くたびれた雰囲気の園芸家へ、防寒具に身を包み重そうな荷物を持った雇われの庭師が、息せき切りながら呼び掛けた。]何だい?カシム君。 騒々しい…僕の可愛い薔薇たちが、びっくりしてしまうじゃないか。「す、すみません…でも、大変なんですっ!僕の故郷が…新緑の村が滅んだって話を、さっき小耳に挟んで…。」