[狭い檻の中、それが今の彼の居場所だった。]
ねー…何時までここに入って無きゃならないの?
[ガチャガチャと鉄格子を揺らしてもびくともしない。
それが気に入らず更に力を込めて揺らす。]
俺別に悪い事した記憶無いんだけどなー、ただ他の道を教えてあげただけだよ?
[―それにより敬虔な聖職者を数多く堕落させたが故に『悪魔』とまで呼ばれ、こうして捕虜として囚われている自覚などこの『自称妖精』の魔物には無い。
彼自身はただ自由を好み、しがらみに囚われている事すら気付いて居ない人間にその事を教えるだけなのだから。]
ねー、出してよ、お願いだから出して…。
[その声に答える者は居るのだろうか。]