─村の入り口─早春の村か…。ここに手掛かりがあるといいのだが。[ その男は村の入り口に立ち、そう呟いた。](…俺の名はトール。今から約三ヶ月前に見捨てられたという村の近くに倒れているところを近隣の村民に助けてもらった。何故そんなところで倒れていたのかと尋ねられたが、俺は答えることができなかった。俺は其処が何処なのかも、俺が誰なのすらもわかっていなかったのだから―――。どうやら記憶喪失というやつらしい。