― あれから ―
王位継承者を指名した先王の遺書は、本物だと発表された。
その直後にフェリクス王子の国家反逆が発覚し、彼の身柄は拘束され、ウェルシュ王子が王位を継承することになる。
しかし、時は既に遅し。
これまでの内紛で、国は政の重臣や軍の要人らを一度に失いすぎていた。新王の元で再興する間もなく、他国からの侵攻を受けてしまう。
北の国境を守るゾネス要塞は、相次ぐ総督の死に見舞われ統率力を失い、隣接する国エトワールの攻撃を受けて陥落した。
一方、南に隣接する国アリューシュも国境を越え、王都へ向けて軍を進ませる。
もはやラメールは、北と南からの攻撃を同時に受けて、真向から対抗する術を持っていなかった。
ウェルシュ王は、先に王都へ到達したアリューシュ軍を前に、無血開城を条件に全面降伏を申し入れる。異国からの侵略者は、それを認めた。