[荒れ狂う花弁の奔流は、確かに槍を飲み込んだ。砕け剥がれる礫の装甲は、まるで今の己のようだ。らしくもない自嘲が漏れたのは、きっとこの戦いが想像以上に楽しかったから。旧知の蒼月にすら言ったことはない。肉の器がなければ正気を保てぬ、己は神には成れぬただの怪物《バケモノ》だ。しかし。]気にした事はねえんだよなァ。いつだって、楽しかったから、さ。[血湧き肉躍る、まさにその衝動。譲葉は過ごし易い。喧嘩に戦に、困る事は無い。直ぐに手折れる花は、ここじゃきっと詰まらないんだろう。けれど、それは──。]