「竜が駆けたよ。」「駆けていったよ。」
「天に昇ったよ。「昇っていったよ。高く。高く。」
「あとになにか残っているよ。」「竜がおいていったよ。」
「「「たくさんの種。明日芽吹く花。」」」
「それと、ひとつのちいさな夢。」
――― 草原を吹く風の音
純粋な、という言葉に人はいろいろな意味を持たせる。
透明な。穢れを知らない。無垢な。美しいイメージだ。
だが時に別の意味も持つ。無邪気で、気まぐれで、残酷な。
その意味で、彼はまさに純粋で、美しかった。
――― アーケン・フォン・ジェメリー 『殺人者たち・その世界』