― 深夜・宿屋 ―
[ヴァルターの遺体を担いで戻る。獣の牙で食いちぎられた体とは違い、かろうじて分かる顔だけを赤が滲むシーツから出して、二階に上る階段の踊り場に置く。
これは人狼にも相談していない。だから彼らが見たら驚くだろうと思ってる。その際の自然な言動を期待して、疑いを逸らす狙いがあった。無論あとで理由を説明して謝る予定だ。
それに加えて、ヴァルターを自宅に置き去りにしたら、いつ発見されるか分からない心配もあった。尤も人狼の痕跡はないが、見れば惨劇の現場は自宅だとすぐ分かるけど。
誰かが発見することを期待して一階に取った自室に戻り、眠りについた。**]