[男は言葉でも彼を玩んだが、夢中だった。
人の営みめいた交わりにて、彼に溺れた。
現に、触手を顕現させることも忘れ、キスを優先させた。>>216
如何すれば彼の視線を惹けるかと、下唇を吸い舌を噛み散らす。
もっと、と彼に希求した声は、吐息よりも小さく。]
――― 覗かれるのは…趣味ではない。
だが、君には視ていてほしい。私を観測してくれ。
[彼に視られると己は不調を起すが、他所に向く方が耐え難い。
同胞など見ないで欲しい、想わないで欲しい。
彼の眸に映るのは、我が身だけでいいのだ。>>217]