さすがに古い魔法ですので、実際に唱えるのは初めてですね……。
[朗々たる声が、多元宇宙に響き渡る]
我が領地たる《山》より来たれ、赤き灼熱のマナ。
我と彼らを載せ、廻れ運命の車輪よ!《Wheel of Fortune》!
[炎が出たり稲妻が落ちたり、ドラゴンが現れたり。
そんなわかりやすい効果は、一切なかったが。
この次元のどこかで、その魔法は確実に「誰か」の運命を変えた]
少しだけ。
エレオさんの大切な人が帰ってくるのが、早まったはずですよ。
それが1日か、1年か、100年かまではわかりませんけどね。
[静かな声で、そう伝えた]