儂は…舞台が終われば、主とは離れるものだと思うておった。
竜郷へと帰る事は通例じゃし、主が儂を望んでくれるとは夢にも思うておらなんだしの。
[自分は傍に居れぬから、番いについても男の幸せを願って言えた。
男からすれば無神経だと思われたかもしれないが、それが竜の想い方であったから]
主に残せるものは、儂の名くらいしか無かった。
この先、儂がどれ程喚ばれることがあろうと、主以外に応えぬと。
……それくらいしか、出来ぬと思うておった。
[抱きしめられているから、顔を伏せた所で男の視線からは隠せない。
想いを明かす恥ずかしさと、男が何を思うか分からぬ不安に目を伏せながら]