幾度も喚ばれて、けれど段々、何故応えておるか分からなくなった。私欲の為だけに皇玉を望んで、勝てなかったならもう要は無いと。そのような扱いを受けていって、自ずとの。そうして、人の欲に触れて、人の尊さを見失いかけて。儂は、己の望みをすり替えた。自分自身の享楽の為じゃと。そんな身勝手な己を、ともすれば消してしまう為だと。[手を伸ばして、男の頬に触れたのは。男の温もりと、自身を望んでくれたその存在自体を確かめる様に]