[>>_151竜を抱きしめる男の腕が強まるに合わせ、胸を叩く動きは止められた。
それに不服を告げぬ所でも、竜が怒った訳ではないことも伝わろう。
ゆっくりとした時間の中、男に竜が明かしたのはここまで明かさなかった願い]
寂しかった、か…そうかも知れぬ。
[>>_152確かめるような男の言葉に開いた、少しの沈黙の後]
儂はの。
皇玉に成るまで、喚び声に応えた事は無かった。
皇玉に成って、そこからどう成りたいか分からぬようになって。
初めて儂に喚びかける声に気付いて、この声に応えることが、儂の道かもしれぬと思った。
一番最初に儂を喚んだ者は、負けてはしもうたけれど儂に礼を尽くしてくれた。
それが申し訳なくて、次の喚び声にも応えることにした。
[ゆっくりと語るのは、男との儀式の間に蘇った、最初の記憶]