……いや……竜に、ってのは、少し違うか。 『個』としての我《オレ》を、他者に求められた事が、今までなかったんでな。 そして、我《オレ》自身も、特定の『個』に惹かれたり求めたり、ってのは、これまでなかった。[特異存在である、という認識が齎す、無自覚の忌避。それ故にそう言った感情は直視する事なく流していた。幼い頃に転がり込んだ人界で、『天使』と勘違いされて色々とトラブルを引き起こした影響もあるのかも知れないが] ……だから、ここで。 『個』《それ》を求められるというのは、考えていなかった。 だから、一瞬、理解が追い付かなくてな……すまん。[惚けた反応をした事への謝罪を告げて。それから、改めて、視線を蛇竜へと向けた]