― 何時かの刻 ―
……そうか。そなたには、家族が居るのだったな。
[リリが挙げた問題、半分ほどは知らない単語であったが、家族の話は譲葉の者にとっても理解が及ぶものであった。
とはいえ、氷華自身に血の繋がった家族というものは存在しないのだが]
ふん。それを言い出せば、きりがなかろうよ。
だからもう、今と定めるべきであろう。
[思い残しを全て解決するには、どう考えても時間は足りぬ。
だから何処か断ち切るような口調で言い]
そなたこそ、思い残しはないのか?
あると言われても、そう長く待つ気はないがな。
[予め突き放すような表現を加えつつ、逆に問い返す]