[小さな声で返すのは、あの頃の本当の気持ち、だけど]
……本当は、言いたかった。
なんで最初から、女だって言ってくれなかったんだって。
そしたらあんな思いさせずに済んだのに、最初から好きにもならなかったのに。
…足掻くことも、諦めることも出来ないまんま。
罪悪感ばっかり、積み上げてくことも無かったのに、って。
[『女』に馴染めるようにと気遣ってくれるあの子を見ていたら、好きだったと─好きだと伝えることなんて出来なかった。
なのに、変わらない優しさや、笑顔はやっぱり自分の好きになったそのままで。
それも自分が、苦しさを感じた理由の一つ]