[今でも美しく見えるのか。俺が見えなくとも、きっと彼女には見えるだろう。そう勝手に信じて遠く遠く離れた海を目指す。最後まで何も、礼すら出来なかった彼女へ] あんたに……あげられるのは、これ位だから。 一緒に……見てくれ。[好きな者に、好きなものを……。さすがに言葉には出来なかったが。外套の中抱き寄せる力が少しだけ強くなる。地獄への旅路だと言うのに、ひどく満たされた心持だった]