…… 確かに、その子がどう生きたいかってことは、
その子が決めること、だよねえ。
[思いを語る声は最初はぽつぽつと落ちて行ったが、
だんだんと通り雨じみて調子を激しくしていく]
でも、いいじゃん。我儘だって。
だって放っておけなかったんでしょ?
[わたしだってヴェルの立場だったらそうした――とは、
例えにしても酷すぎて言えず。
その時かわりに頭の片隅をよぎったものがあった]
わたしだって、今いる街に新しく移り住んできた子が、
軍から逃げてるうちにきょうだいとはぐれちゃったって聞いて、
昔のわたしみたいだって思って勝手に世話焼いちゃったりしたこともあったよ。
その子が来たのも確か2年位前だったんだけど……。