[零れたのは、己がための願いではなかった。かつて戦場で拾った子供。その子の失われた片足を取り戻させてやりたいのだとヴェルは語った。知っている。未来は何でもありではなく、治癒魔法にもできることの限界というものがあって、――つまりすごい治癒魔法士でも神の領域に届かぬからには失った手足を治すこともできなくて、それから生まれ持った属性というものもどうにも変えられぬ。ならば伝承に聞く『神魔』ならば――という思いが確かにあったのだろう、ヴェルの中には]