……本当に酷い人ですね、師匠は。[二つの選択肢を前に、零れたのはそんな呟き] そんな、如何にも飛びつきたくなるような選択肢、ぶら下げないでくださいよ……。[逃げるなら、家族の無事も保障されるなら、何もかもの望みは叶うのだ。 それだけが目の前にあるなら、間違いなく選んでいたというのに] でも、そんなこと言うなら。 私だって我儘言わせてもらうんですからね。[三角座りから立ち上がり。 彼の正面へ、回り込むようにステップを踏む]