ぇ、ぁ……。
[距離が詰まる気配。弾かれるように頤があがれば、急襲するかのように迫る相手に、自然身が固くなる。]
…………。
[支えられた腰と共に、重なり合う二つの影。即座に離れた相手のその顔は悪戯っぽく口元に笑みが浮かんでいた。]
あ、あの……い、今……。
[その口元を見て、先ほどの自分の唇の感触を思い出して思わず、自分の唇に指を当てる。軽く押す事で繰り返すように明瞭に光景が思い出される。ただ、熱い温もりが欠けていただけで。]
で、でしたら……。
[与えて貰ったぬくもりを、――求めに行こう。
目一杯の背伸びと共に、羞恥からきつく目を閉じたまま、飛び掛るように、覆いかぶさる勢いで、彼の首筋に腕を回して、二度目の口付けを奪いに行った。]