[兄さん、とは続かぬアデル呼び声に翆玉が揺れる。
野茨公から呼ばれると同じ愛称ではあるが
慣れぬせいか少しだけ落ち着かないように視線が彷徨い]
何だか不思議な感じだ。
[ぽつ、と感想を零してはにかむ。
何でも話してと言われるとふと違和感を覚えた。
これから何か起きた時の事を想定していたが
アデルの言葉からは先ではなく今を示しているようにも思える。]
――――。
[短くない沈黙が流れた。
様々な可能性を考えて思い当たるのは
秘密にする一つに気付いているかもしれぬということ。]
何でも、か。
君は、何かに、気付いているの?