>>=20
[ソマーリュに問われて初めて、あれ以降の自分の話をしていなかったと気付いた。
あまり楽しい話でもないし、聞かれなければ話す事は無かった。]
…あぁ、亡くなったよ。
俺が十九の時に。
それからEsに入隊するまでは別荘で‘療養生活’だ。
[心優しい父は、兄と自分の不仲を嘆きながら逝ったという。
妾腹の男は死に目に立ち会う事を許されず、自分に良くしてくれていた執事や従僕達から聞いたのみ。
執事に預けられていた父の形見と、別荘で暮らすのに必要な金を与えられたが、父の死に立ち会えなかった事が全てをどうでも良くさせていた。
別荘での生活は表だって冷遇される事は無かったが、孤独に苛まれる時間も多かった。
友人は時折訪ねてくれたけれど、いつしかその訪いも少なくなって。
嵐の日などは酒を浴びるほど飲んで無理矢理眠りについた。
―我ながら酷い生活だ。*]