― 五年前・ベルサリス学館 ―
[特に何という事は無い一日であった。
然しキール、否、巫女姫と出会ってからのアレクシスは、少し窶れているように見えたか。
教師という身でありながら、生徒よりも勉強熱心だった為だ。
昼間は教壇に付き、放課後から閉館までの間、図書館で勉強に耽っていた。時にはマーティンに武術を学んだり、シロウから戦術の教えも受けたか。
食事もままならず、不健康な生活を送っていた。]
――――……え?
[>>=14 軽く廊下で寝ていたせいか、その声に気が付くのに、暫し遅れた。顔を上げれば、流れる金糸に、はっとするほど澄んだ深宵藍。]