[夜食の支度を整えていたときのこと。コッペリアを操りながら、カップを並べながら、視線を交わすこともなく、心を交わす]
>>=10
辛くはないよ、どちらかというと、とても幸せだったと思う。
その上こんな場所に来て、始まる前は半信半疑だったけど、もしかしたら夢が叶うって言うから。
これでしんどかったって言ったら罰が当たるくらい。うん、わたしは、幸せだった。
[リルの独白に、囁き”の耳を傾ける。
その通ってきた道に安易に口を挟むことは、できず、考えず、ただ静かに。]
赤を重ねない夢――か。それを聞けて、嬉しい。
わたしの夢は――鞄の底に残された、星の薔薇の押し花。
もう切り取られることがない、青い空。本物の空。
泳ぐように浮かぶ星。
………でも、一番に目に浮かぶのは、白。
そして、黒は、もうおしまい。
[心に浮かぶままに並べれば、なんだか取りとめもない謎かけのようになってしまった。視線をコッペリアに向ける。そう――夢の色は、確かに白かった]*