あり得ないはずです。
私のつくった制度がそのまま実施されたのなら。
私は民のため、貧しき者らの為の施策を考えました。
それは父上とてお認めになられたこと。
それゆえに、父上は私の施策を実行なされたのです。
……そして実際、私は民の間に降りてみました。
見落としはないか、不足はないか。
あの時はまだ、そのような事にはなっていなかった、はずです。
[一か月前、兄と街中で出会った日。
あの日のウェルシュの一番大きな目的は、それを確かめるためだったと言っていい。問題はないようであった。少なくとも、この目が節穴でなかったのなら。]