― 幼きあの日 ―
だいじょうぶだ、お前はわるくない。
[熱を出して寝込む弟。
布団を被りながら落ち込む弟に、少年は頭を撫で一つの本を置いた。
弟が熱を出し寝込む度に本を置いているのだ。
最初は絵本、次第に段々難しい本を置いていた。
元々本を読むのが好きな弟が喜ぶ様にと思っての事。
自分の様に出来れば良いのに、と自分の無力さを嘆く弟には幼いなりではあるが励ましの言葉を告げる。]
できるようになる。
ウェルシュはぼくの弟だ、父上も母上のこどもだからできるようになるっていってたんだ。
じかんをかけて、いっぱいべんきょうすれば、ぼくもウェルシュもりっぱな大人になれるって、いってた。
[両親はよく言っていた。
「二人とも賢い子供だから、沢山の事を学び経験を得れば立派な人間になる」と。
身体の弱い弟を励ます為に言っているのだが、己もその言葉を信じ、武に励み文を学び、立派な大人になれる様に精進する。
父を助け、母も弟も民も守れる立派な大人になると心に決めて目標の為に努力を惜しまなかった。]