君は最初、立ち居振る舞いや属している場所が、似ているかもしれない、と思った。
わたしを攫って売った、人まで商品にする連中に。
……ごめんね、何も分かっていなかった。
違うことは、直ぐに分かったけれど。
[思い出されるのは、継ぎはぎの記憶。
それより前のことは塗り変えられて、あまり思い出せない。絵の上に、乱雑に、幾重にも塗り重ねられた、赤い油絵具に覆われて。
たぶん、家族と呼ばれるひとたちもいたのかもしれないけれど、笑い声には顔がなく、手の記憶には温もりがなく、ただ、窓の外に枝葉を伸ばして佇む一本の木の記憶だけが、今も瞼の裏に残っている。]
わたしたち、お互いのこと、話す時間もなかったね。
けれど、君の夢なら――きっと綺麗なんだろうな。世界中の誰が、違う、って言っても、わたしはそう思う。
夢を教えて、とは言わないよ。ただ、一つだけ聞きたいな。
君の夢は、どんな色をしているの?