あ、違ったんですか。
すいません。
………うーん。じゃあ、誰かがもし探してたら返すということで。
そちらで落とし主がわかったら、私も返しますから、教えていただけますか?
[電話とは違うようだし、これはよく昔のスパイ映画なんかに出ていた通信機の類なんだろうか。
でも映画で見たよりずっと大きくて、かくして持ち歩くのは難しそうだなー…などと思いながら。
通信機の向こうで悩んでいる様子の声に、そう伝える。
……どこかで聞いた声のような気もするけど、気のせいだろうか]
あ。私、フレデリカ・ケティといいます。