― 母の子守唄に包まれながら ―
[遊び疲れて、幼い兄弟達は同じ寝台の上で小さな身体を寄せ合って眠りに就こうとしていた。
既に弟は眠ってしまったのだろう、ヘーゼルの瞳を閉じ静かな寝息を立てている。
少しずつ少しずつ温もりが増す身体を守る様に、幼い兄は身体を寄せ、短い腕で弟の体を包み込む。
そして母の優しい歌声に、穏やかな子守歌に包まれ、兄弟は二人寄り添い合っていた。]
ウェルシュ……。
[また熱が出るのでは無いか、と不安を抱き、幼いなりに弟を守ろうと抱きしめていた。
先の不安に無垢な心は揺れるが、包まれる温もりが眠気を引き出し。
いつの間にか翠の瞳がゆっくりと閉じられていくのだろう。
その時苦しみが生まれてきたのだろうか、動く弟の身体を包み守ろうとしながら。
母の子守歌に眠気を誘われ、拙い言葉を弟に紡いでいく。]
だい、……じょぶ。
ぼく、が、まも……。
[穏やかで優しい歌に守られながら、安らかな眠りの世界へと身を委ねていく。]