人狼物語−薔薇の下国

541 グラムワーグ・サーガ 5 〜呪歌、今まさに絶えんとする時


【鳴】 魔法学園生 リヒャルト

[未だ、直接出会う前。
声だけで繋がっていた頃。

一月ほど、話しかけられても全く返事をしなかった――できなかった時期があった。

それは、実母が病に伏してから、永眠するまでの間。
当時10歳、この頃は魔法の才の発現は片鱗程度にとどまっていて、未だ、下町で慎ましく暮らしていた。

そんな状況での母の病は混乱を引き起こして。
当時は伯母だった養母や、隣近所からの援助もあったが、先の見えない母の看病は少年の身には堪えていて。

声が聞けて嬉しいのに、どう返していいのかわからなくて。
案ずる声に心配させている、と自覚したらそれもそれで苦しくなって。

結果として、実母が眠りにつくまでの間、上手く声を返せずにいた]

(=7) 2020/11/18(Wed) 00:05:04

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