─ 過去 ─ =4[ ベリアンが神殿へ送り込まれた理由は、とうに耳に入っていたが、当人の資質とはまったく関係ないところで憎愛劇に巻き込まれて邪険に追いやられた、というのが妥当だろう。だが、それをベリアンは「神殿に保護された」とみなしているようであった。今も、幼い彼をそんな目にあわせた義母のことを、憐みを持って語るのが、ベリアンという人間なのだ。] 君はどうして、そんな気の回し方ができるのだろう。[ しみじみと呟いた。]