お願いがあるのです、兄上。
このままどちらが王位継承者と定まるのだとしても、
……父上の、葬儀を。共にすることは、出来ないでしょうか。
[ほつ。と、落としたのは、今とは一見無関係な願いで。
ゆるゆると顔を上げれば、兄と視線は交わるか。
緑の瞳、見ること叶えばそれへ僅かに微笑みかけるようにして。]
リヒャルトが、そう言ったんです。
兄上と共同の主催でやってはどうだろうか、と。
…多分。兄上と私とのことを、案じて。
[それは数日前の話。>>2:174
今となれば、彼の遺言となってしまった幼馴染の最後の願い。]