ええ。どちらにも王の位は──── まだ、重い。
それは恐らく父上や我々だけではなく、臣も民も思うのでしょうね。
きっと、全てが満足いくほど充分になることはないのでしょうけど。
それ程までに父上のお力は偉大です。
[あの時。ウェルシュは不安だったのだろう。
もう幼い日とは違う。時経てば失うものがあることを知っているし、変わりゆくものがあることも知ってる。
一カ月後。
王位後継者が正式に披露されたなら、きっとまた何かが変わってしまうのだろう。兄とのこうした語らいの時も。或いは変わってしまうのかも知れなくて……変わっては、欲しくなくて。]