…ざけるな…
[俯いていた男は顔を上げ、涙に濡れた目で幼馴染みを睨みつける。
胸の中で膨れ上がったのは、別離の哀しみを上回る怒り。
自分は固く閉じた蕾ではない。
箱庭の中で大切に飼われる雛鳥でもない。
だからこんな時に大人しく残酷な現実を唯々諾々と受け入れて、さめざめと泣いているわけがないのだ。
幼馴染みが望むなら、とこのままおとなしく見送るつもりだったが気が変わった。
そこにはきっとユーリエの叱咤の影響もあり。]
この馬鹿野郎が。
勝手な事ばかり言いやがって。
俺がどんな思いでお前に手を下したと思ってる。
妹に手紙?許可されなくとも書いてやるさ。
約束だってすぐに叶える。
でもそれは二の次だ。