小鬼と餓鬼の妨害と、それに対する戦いの場に、不意に、咆哮が一つ、響き渡る。
『……下がれ、我が眷属』
『……そなたらでは、歯が立たぬ』
咆哮の後、響いたのは静かな声。
それに応じるように、餓鬼と小鬼はすっと後ろへ下がってゆき。
それと入れ替わるように、森の奥から現れたのは──獅子を思わせる、巨大な獣。
『……異邦人を、我らが領域に触れさせるわけにはゆかぬ』
『……我が宿敵、そして、古きものがざわめくこの時に、これ以上の災禍は起こさせぬ……!』
妙に力の入った、けれど、どこか一方的な言葉を告げた後。
獅子は幾度目か、咆哮を上げた。**