――どくり。力強く脈打ち、
――どくり。その分だけ、膨張を繰り返し
やがて王子の心臓は、破裂した。
そこから飛び散ったのは血と臓器の破片ではなく、黒い砂。
幼き頃王子が出逢い、連れ去られ…暁月夜に砂と化した吸血種の成れの果てだった。
王子の左胸、抉られたその場所に黒い砂が落ちていく。
王子の悲願であったもの、それはあの時の吸血種の復活だった。
Es達はその為に集められ、同胞同士の血を血で洗う戦に勝利したもの、
その血を媒体に、過去に縁を持った吸血種の復活の儀式を行った。
『これで、彼と――…』
『ヒ ト ツ ニ ナ レ ル』