― 第二王子からの伝達・イドより ―
おはよう、私の愛しき吸血種たち。
仲間の血肉を屠り、欺き、一時的にとはいえ命を奪う。
それは果たしてどのような心地なのだろうね……?
さあ、おいで。勝者には「願いの叶う心臓」をあげるよ。
王子の姿は開かれた扉の奥の寝所にあった。
寝台の上、真っ直ぐに横になり眠る王子は、呪術で眠りについている。
王子の身体からは同胞の匂いは確認出来ず、人間であると窺えるか。
王子へと近づけば、左右に待機するドールが
『王子の心臓を抉り出し、勝者の血を垂らしてください』
『さすれば、貴方の願いは一つだけ叶うでしょう』
そう、告げるだろう。
呪術はこの狂った遊戯全体に掛けられている。
願いを受け入れるのは、勝者の血のみ。