人狼物語−薔薇の下国

549 月下薔薇


風の囁き(村建て人)

 村長の補佐を務めつつ、村の自警団を束ねる彼は、集められた者たちと距離を取りつつ、静かに口を開いた。

「……先日、村はずれでご老人が亡くなられたのは皆も知っていると思うが……」

 こんな感じで始まった話。
 元鉱山夫の老人の受けた傷が普通ではない事。
 獣に裂かれたようなそれは、風の噂に聞く『人狼』の仕業である可能性が高い事。
 外から隔絶された現状、放っておけば村が滅ぶかも知れない。
 だから、被害を減らすために疑わしきものを集会場に集めたと。

 ……死にたくなければ、『人狼』を見つけ出して殺せ、それまで集会場から出る事は許さない、と。

 どこまでも淡々と告げた後、長の使いは踵を返して集会場を出ていく。

 集会場へ続く道は、いつの間にやら板壁と土嚢でがっちりと閉ざされて。
 村へと戻る事は、できなくなっていた。**

(#1) 2021/08/01(Sun) 00:32:50

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