祭りの賑わいの中をあっちへふわふわ、こっちへふわふわと飛び回りながら、虹色の光散らす仔竜は考えていた。
祭りになると、あちこちでお菓子が作られる。
そして、そのお菓子を食べてみんなしあわせそうにしている。
じゃあ、お菓子がもっとたくさんあったらみんなもっともっとしあわせで楽しくなるんじゃないか、と。
そしてお菓子がいっぱいなら、忙しそうな保護者もしあわせになるんじゃないか、と。
根底にあったのは、そんな幼い思考。
そして、その幼い思考の赴くまま、屋台の一つから失敬してきたクッキーを平らげた仔竜は力を集める。
たくさんのお菓子と、こっちで遊びたいと訴えている『ちいさなともだち』をこちらに招くために。