>>@295アレクシス
[ 声を堪える気配を感じ、腕の中で縋るような牧師を抱き支えて。唇を離し、耳元で囁き ]
部屋、行きますか?
そこでならどれだけ泣いても恥ずかしくはないでしょう…?
[ 少女の去った気配はもう追わないと決める。…そう、自分に刺さったもう一本の矢の相手は彼女だった。腕の中の牧師が己の気持ちなのか、矢のせいなのか悩むのと同様に、自分にも実は、少女への気持ちが強く生じてはいたのだ。
けれど、牧師のほうを選ぶことができたのは、矢が刺さる前夜までの、確かな素の自分の記憶の上積みがあったからだと知っている。 ]