所有される悦びについて。
誰かに“所有されること”はこの世に居場所を見出すための手っ取り早い手段の一つである。
人間とは社会的な動物であるため、自己の定義は得てして関係性の中で行われる。
たとえば「ローレル」とは、それだけでは、無数に存在する人間の中のうちの一人に名をつけたものでしかないが、そこに「よいこの絵本作家」という肩書きがつくことで少なからず社会的なステータスが付与され、他者との差別化が行われるのである。そこでアイデンティティが形成され、「ローレル」には「ローレル」独特の物語性が生じる。
ここに一匹の雌豚がいるとしよう。
雌豚はただの雌豚でしかない。ブヒブヒと鳴くだけのただの雌豚である。
しかし、ご主人様を得た時、雌豚はもはやただの雌豚ではなく、「ご主人様の雌豚」である。所有されることで関係性を得るのである。