― 最終日、夜明け前の自室 ―
[ …は浅い眠りから目が覚めた。窓の外に目をやる。空は瑠璃色に輝いていた。もう間もなく、夜は明けるだろう。隣で眠る恋人の顔を覗き見ると、少し苦しそうな表情をしているように思えた。 ]
ごめんな、ツラい思いばっかりさせて…。
[ 愛しい恋人は、仲間を裏切って自分の元に居てくれている。きっとそれはとても苦しいことなんだろうと解ってはいたけれど、それでも尚、自分と共に居ることを選んでくれたことがとても嬉しかった。 ]
[ 明日には、きっと全て終わる。そうしたら、静かになった村を二人で回って、村の最後を目に焼き付けて、少しの荷物をまとめて出て行こう。人と人狼が手を取り合って生きていける……そんな場所を探しに。 ]
ロヴィン…愛してる。俺とずっと一緒に生きてくれ。
[ …は眠る恋人の唇に、そうっと自分のそれを重ね合わせた。人外の証である獣の耳を優しく撫でて、手を握る。そうして…は再び布団へと潜った。夜明けまでもう少し、もう一眠りするのだ。二度とこの手は離さないと、決意を胸に秘めて。 ]