【墓】 旅人 ニコラス

[”優しいことが全ていいことにつながらない。”>>+251
カタリナがそう言った瞬間、ぴくりと肩が動いた。だがそこでは口を挟まず、最後まで黙って耳を傾けてから、少しためらうように口を開いた。]

実はオットーさんが僕を襲ったときに、一瞬いつもの彼に戻った>>4:339>>4:340>>4:341んです。そして”やめて。逝かないで。待って。”と泣きだされて。

自分で言うのも何ですが、狼占の眼ってただ生きているだけで人狼にとっては”災厄”なんです。いつ自分たちが見つかるか分からない、例え見つからなくても日々隠れ場所は狭められる。
なので僕は襲撃自体は必然なので何とも思ってません。だけどオットーさんは、そんな僕にさえ優しさを見せた。だからこの村と村の皆を壊したくて壊したわけじゃないって判断しました。

でもあなたの仰る通り、優しさは過ぎれば毒になる。この村の人狼たちにとって、逆に自分たちを追い詰める結果になっているように見えます。

その点僕は、人狼の前でこそ大人しく振舞っていましたけど、裏ではあれこれ工作していましたからねぇ。
人狼も人間も関係ない世界に来てみると、もしかして一番残酷だったのって狼占の眼《ニコラス》じゃないかって気もします。

[工作云々は恐らくカタリナには初耳の事実であろう。そう思うと苦笑しか出ないが、そんな言葉で締めくくった。]