【見】 【墓】 開発部主任 ジル

　狼月村《あっち》はもうすぐ冬だったなぁ

[当時《・・》、カルデラ湖の真ん中にある島から見上げた空は白くて、風は少し強かったと思う。
空気もだいぶ冷えていたけど、近くに温泉があるからか、温かな湯気やら匂いがほんのりと混ざっているようで、震え上がるほどの寒さではなかったと思う。

馬車が行き交う事もなさそうな細い道や、遠近に点在する建物、葉を落した木の枝はどれもくすんだ色合いで。
村全体がモノトーン調で少し侘し気な光景だったのに、何故だかノスタルジックで、不思議と寂しい感じとかしなくて]

　……なんか、帰って来たって感じがしたんだよな。

[ゲームの進行でいえばプロローグにあたるので、そうした心象操作が行われていたのかもな。でも、中に入ればその自覚はないから恐れ入る]