>ディーン
[ 不思議だ。
死ぬというのは、こういうことなのか。
一瞬の痛み、衝撃のあとの暗転――意識が続いている。そして生前いた時間軸、世界線を眺めることができるとは。
思いすら読み取れる。
死んだ私たちとの邂逅を思い出しながら、1人つらい作業をこなす彼。
体が燃やされていく。体の持ち主だった私より何倍も、彼のほうがつらいのだということがわかる。
――苦しむな。この声を、届けることができるのなら。
少しでも彼の心を軽くしてやることができたのだろうか。
どうか恋人と最後まで生き延びて、幸せに生きてほしいと願いながら、今この死後の空間に共にある恋人の体を掻き抱いた ]